幸せってなんだろう?

「あ・・・あなただったの?」

ん?詩織ちゃんの声だ・・・

誰かと話してるのかな?

ちょっと覗いてみようかな・・・



「悪かったな、こんなところへ呼び出して、どうしても詩織、君に伝えたいことがあるんだ」

え、これって・・・

「そう・・・」

詩織ちゃん、どう答えるんだろう・・・

けど、私なんかそばにいても、何もできないし、だったら、いっそのこと、高見くんとうまくいってくれたほうが・・・

詩織ちゃんは幸せになれると思う・・・

でも・・・でも・・・詩織ちゃんと別れたくないよ・・・



「公人くん、何も言わなくていいわ、ごめんなさい、私、好きな人がいるの・・・」

え、それって、もしかして・・・

「・・・メグ、もう隠れてなくていいわよ」

「え、詩織、マジかよ!」

「全部見られてたみたいね」

私は詩織ちゃんたちのところへと登場した。

「私はメグが好きなの・・・ごめんなさい、公人くん」

詩織ちゃん・・・



教室に戻る。

頭のなかから離れない、さっきの、詩織ちゃんと、高見くんのこと・・・

私なんかじゃダメだよ・・・

詩織ちゃんが、幸せになれない・・・



帰り道、詩織ちゃんと並んで歩く。

私は思い切って、口を開いた。

「詩織ちゃん・・・高見くんのこと、どう思ってるの?」

「ただの幼なじみよ、それ以上はなにもないわ、メグが危惧してることも」

ちょっとホッとした。

けど、そのままじゃ・・・

「詩織ちゃん・・・」

私は決心を固めた。

「どうしたの?怖い顔して、メグ」

「高見くんと付き合いなよ・・・」

「メグ?どうしたの?」

詩織ちゃんは不思議そうな顔で私を見つめた。

「私は詩織ちゃんに、何もしてあげられない、幸せになれないよ・・・」

「・・・メグ、本気で言ってるの?」

「うん・・・本気だよ」

詩織ちゃんは、溜息ついて

「メグはそう思ってたんだ・・・大して私の事好きじゃなかったのね!」

そう言うと、詩織ちゃんは、走って行ってしまった。

詩織ちゃんを怒らせてしまった、けど、これでよかったんだ・・・

これで、詩織ちゃんは幸せになれるんだ・・・



なんか、ぼーっとする。

詩織ちゃんとのことが頭からはなれない。

けど、これでよかったと思うしかないと、自分に暗示をかけた。



「メグ!!!そっちはダメ!」

え、何?

振り向くと、信号は赤信号で、車が迫ってきていた。

「危ない!」

その声が聞こえると同時に、私は道路の外へと出された。

「痛っ!」

「大丈夫?メグ?」

詩織ちゃん!助けてくれたんだ・・・

あんなにひどいこと言ったのに・・・

「私なんかのこと助けちゃダメだよ・・・」

「メグ、あなた勘違いしてるわ。私はメグでないとダメなのよ!」

「詩織ちゃん・・・」

「とにかく、メグが無事でよかったわ・・・」

詩織ちゃんは自分は怪我してるのに、私の事抱きしめた。

これが幸せなんだ・・・

詩織ちゃんは命がけで守ってくれた。

今度は私が守る番ね。

もう詩織ちゃんから離れない。

そう誓った。



そうして、誰かが呼んだ救急車が到着し、病院へと運ばれた。

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